出発まで
今年の目標の1つは「国立公園に行く」だった。
日本だとどこが国立公園にあたるのか調べた。
我が県福岡にもなくはなかったがほぼ福岡ではなかった。(瀬戸内海国立公園)
九州の国立公園といえば阿蘇くじゅう国立公園である。そっちの方に行ってみたい。あと湿原に行きたい。木道の景色が好きだから。
そうしてGoogleマップを見ていた結果白羽の矢が立ったのがタデ原湿原である。夏場はヒゴタイという絶滅危惧種の花が咲くらしい。8月が見頃だとか。
1人で行こうかと思ったが、不意に暫く会っていない友人の顔が浮かんだ。すぐにLINEをしてみると、旅行の提案に快諾してくれた。彼女と旅行をするのは数年前の札幌旅行以来だった。2人で日程調整、バスと宿の確保を済ませる。
宿探しをしているときに、気になる宿をみつけた。今回の目的地とは若干それるので諦める。いつか行きたい。
うちには同居猫がいるので、別の友人に猫の世話をお願いした。頻繁に泊まりに来ている友人なので猫もそんなに緊張しないはずである。
無事有給を取得し、いよいよ旅行まで一週間を切ったところで天気が気になった。台風が近づいている影響で天気が崩れるらしい。折り畳み傘とカッパを持っていくことにした。
1日目
朝、同居猫との涙の別れを果たした後バス乗り場で友人と合流し、福岡から湯布院へ向かうバスに乗車した。片道3250円、乗車時間2時間ほど。
バスを予約したときは空席が多かったのに当日はほぼ席が埋まっていた。世の中にはギリギリで予約する派が多いのだろうか。
バスの中で友人と軽く話して、寝て、起きたら大分だった。天気は曇り。山々から霧のような湯気のようなものが立ち上り雲になっていた。時折その中をバスが走るので、雲の中にいるようだった。
湯布院
到着した湯布院は小雨が降っていたため傘をさす。湯布院からタデ原湿原へのバスの時間まで3時間ほどあったため、その間湯布院を観光した。
プレーン(150円)(写真左)を食べつつどう周るか話し合った。体に優しそうな味がした。
顔を出すヤギ。
湯布院昭和館。裸の大将の展示とかもあった。
ケーゼスフレ(230円)、シュプリッツクーヘン チョコ(230円)、"ミルヒ"オリジナルブレンドコーヒー(300円)。
ドーナツばかり食べている。こちらは店名通りミルク感強めのドーナツだった。ドーナツって満足感の割にお値段が控えめな気がする。
湯布院には2021年ごろにも来たのだが、当時はコロナの影響が強く開いていない店が多かった。短い時間とはいえ大抵の店は営業中だったので、当時とは別の楽しさがあった。
タデ原湿原
再びバスに乗車し霧深い山道を進んでいく。バス運転手のドライビングテクニックの高さがうかがえる。片道1500円、1時間ほど。
くじゅう登山口で降りると、ひとまず雨は止んでいた。長者原ビジターセンターという案内所に入って下の階へ降り、散策路へ出た。
美しい山々に木道。肝心のヒゴタイは枯れていた。早い。今年が暑かったせいだろうか。幸い何輪かの生き残りはいた。
暑かったら大変だな、と旅行の計画を立てた時点で思っていたのだけれど、曇っていることもあり涼しく快適な気候だった。流石は標高1000メートル。
宿
存分に歩き回ったところで、宿を目指すことにする。まっすぐ続く道をさらに小一時間ほど歩いた。ツーリングをしている人が多かった。部活動か何かの団体が走り込みをしているのとすれ違った。
今回の宿は虎乃湯。なんとあの(少なくとも)北部九州の田舎を席巻する格安スーパー・トライアルが運営しているらしい。流石トライアルなだけあって素泊まり一泊2人で9780円。長屋の中の一部屋に泊まった。5人くらいまでなら泊まれそうな気がする。
宿の看板にたどり着いて曲がる。しかし看板から受付まで徒歩10分ほどあった。徒歩で来ることなんて想定されていない。
その10分の間に池がありカモがいた。カモは私たちをみとめると池から上がって寄ってきてくれた。嬉しい!池のそばにカモの餌らしきものの箱があったが中身は売り切れており、せっかく寄ってきてくれたカモに何もしてあげられなかった。
受付について名前を書く。お車ナンバーをお願いしますと言われたので、車ありませんと言ったら妙な間が生まれた。バスで来ましたとフォローするように言うとはあ…と引き下がってくれた。徒歩で来る馬鹿だと思われただろうか。しかし私には車どころか免許がない。
部屋に荷物を置いた後、着替えとフロントで買った貸しタオルを持ってお風呂へ向かった。大浴場だけでなく予約不要の家族風呂もある。家族風呂が空いていたのでそちらをいただいた。友人と2人で貸し切り温泉。
上がって、フロントでお弁当を注文する。私は酒を、飲めない友人はコーヒー牛乳を買って部屋へ戻った。布団を敷きながら、高校の頃の合宿の話をしたりした。(彼女は高校の同級生である)8時になって弁当が届く。それを食べたころには私はかなり酔っていた。楽しい。夜空を見に少し外に出たりした。ついでに酒を買い足した。
テレビでは金曜ロードショーのパイレーツオブカリビアンが流れていた。よく歩いたこともあり、10時ごろには眠くなって消灯した。
2日目
7時ごろ起床。身支度をして9時前にチェックアウトした。フロントから歩いていると再びカモの池の前を通った。餌が補充されていたので100円を入れて手に取ったがカモが寄ってこない。カモに餌をあげるつもりだったのに鯉に餌をあげていた。
道中のお地蔵様。松の木が生えていた。何十年後かに木と一体化するのではないか。
謎のムーミン。この辺りは別荘地らしく、別荘売ります土地売ります系の看板があった。
やまなみ牧場
この日の午前はよく晴れていた。気温自体は涼しいが、直射日光があると暑い。汗をかきながら1時間ほど歩いてやまなみ牧場へ到着した。
やまなみ牧場は九重高原にある観光牧場です (yamanami-farm.jp)
やまなみ牧場もやはり車で来ることが想定されているので、看板から施設まで徒歩10分ほどある。キャベツ畑を眺めながら10分歩いていろいろ審議が要りそうな顔はめパネルに遭遇。どうなんだこれは。
牧場内に入る前にソフトクリームを食べた。ブルーベリーとバニラのミックス。
牧場内には宿の池の比にならない数のカモがいた。餌が売られており、やはり人間を見ると寄ってくる。
馬のお顔を触らせていただいていると、犬が現れた。ふわふわのパピヨンらしき犬。男性客が連れてきた犬だったのだが可愛すぎてつい声をかけてしまい触らせていただいた。10歳超えの老犬だというが、とてもそうは見えない美しさだった。
羊も人間に寄ってくる。柵の外に青々と生えている草を食べたいらしい。そんな羊たちが一斉に動いだしたかと思えば、先ほどの男性と犬が近づいて来ていた。犬を前に整列する羊と羊を見つめる犬。高校の体育の時間を思い出した。
ウサギも人間に寄ってくる。ウサギのふれあいコーナーもあったので入ってみたが、抱っこするのははばかられて撫でるにとどまった。
罠にかかった猪も保護されていた。なんと熊までいた。
ファンサがアツいヤギ。
一通り見て回った後、チケット売り場で一休みした。友人が瞬間冷却材を持ってきてくれていたので使おうとするのだがなかなか冷たくならない。カイロのような子袋を拳で殴ると、中の薬剤が破れて冷却するというグッズだった。必死に殴っていると食堂からスタッフさんが心配して見に来た。恥ずかしいながら事情を説明するとスタッフさんも手伝ってくれて、なんとか冷却に成功した。しょうもないけど印象深い思い出になった。
冷却材を手に再び歩く。
くじゅう自然動物園
やまなみ牧場の(車感覚で)隣に民営動物園がある。またまたチケット売り場からエントランスまでしばらく歩く。
入り口にいたワンちゃん。お腹大公開サービスをしてくれた。園内の散歩もできるらしい。
園内はヤギや豚が放し飼いされている。人間を見つけると寄ってきてくれる。
猫ちゃんもいた。目の色がきれい。
チケット売り場のすぐ近くに素敵なコーヒーハウスがあったため、ここで昼食をとろうと入ってみた。ところが現在運営形態やシステムの変更に伴って休業中だそう。残念。
昼食
お腹空いたねと言いながらまた歩く。当然コンビニもない。15分ほど歩いたところにあった蕎麦屋に入った。蕎麦屋の周りにもヒゴタイが咲いていて、まだ枯れていなかった。
手打そば風来坊
盛りそば(1000円)
小学生らしき少女が出迎えてくれた。夏休みに家の手伝いをしているのだろうか。そば以外のメニューはなく、食べやすい辛さのわさびは自分で擦るスタイル。
乗馬
時間が余ったため、近くにあった乗馬施設を訪問した。
大分九重 乗馬クラブ エル・ランチョ・グランデ TOP 総合案内 - 大分の乗馬クラブ エル・ランチョ・グランデ (elrancho.jp)
建物の中に入ってみるが人がおらず、犬が2匹いた。懐っこくて大人しい。犬にあいさつした後、すみませーんと声をかけてみるとスタッフさんが出てきて、システムを説明してくれた。
15分のミニ遠乗り5000円。ビジターでも予約なしで気軽に乗れるのはありがたい。
スタッフさんに連れられて施設内を馬で一周した。最近猫の親子が住み着いているらしく、乗っている間見かけた。
施設には小学生が何人かいて、スタッフさんによると夏休みの乗馬合宿に来ている子供たちだそう。
乗馬を楽しんだ後は帰りのバスまで時間があるので座ってのんびり。少し雨が降ってきた。バスが時間になっても来ず、少し焦る。バスに乗ったものの湯布院への到着がギリギリになりさらに焦る。
湯布院に着いたら爆速でお土産を買い、福岡行のバスに乗車した。帰りのバスは韓国からの観光客が多かった。私は顔面認識能力が低い方なのにああこの人中国の人だな、とか韓国の人だな、というのがすぐにわかるのはなぜなのだろう。不思議である。同乗した人たちの日本旅行が楽しいものになっているといいな。歩き疲れてバスの中でぐっすり寝た。
無事福岡に到着。バスから降りると夕方とはいえ蒸し暑かった。やはり都会の方が暑いのだなと確信した。
今回旅行に行ってくれた友人は、現在関東の仕事を探しているのだという。引っ越してしまったら、もう旅行はできないかもしれないし、なかなか会えないかもしれない。また彼女と旅行に行けるといいなと思う。